あしたは だいじな ゼミの はっぴょう。
がくせいの まほちゃんは おふとんに くるまりながら むねを どきどき させていました。
「じゅんびは したけど…… うまく はなせるかな」
「みんなに へんなふうに おもわれたら どうしよう……」
そんなふうに こころが しずかに ゆれながら
まほちゃんは いつのまにか うとうとと―― ゆめの なかへ おちていきました。
やさしい くうきと やわらかな ひかりに つつまれて、
まほちゃんは ゆめの もりを あるいていました。
そこに ふわりと あらわれたのは、
星のマントを まとった ふしぎな すがたの ゆめの ちょうりつし ―― ゆめメル。
なにも きかず、なにも せず、
そっと そばを あるくだけで、
まほちゃんの こころの まよいが すうっと かるくなっていきます。
まほちゃんの ふあんな ゆめの葉を そっと てにとった ゆめメルは、
「ほしのしずくインク」で やさしい ものがたりを えがきはじめます。
――たいようのひかりを ひとつ
――こころにささる ことばを ひとつ
――おもいだした じぶんの えがおを ひとつ
ページのうえに きらりと ひかるインクが ゆっくりと しずみこむと、
くろく しおれていた ゆめの葉は すこしずつ、やわらかな ひかりを とりもどしました。
まほちゃんの こころに やさしいじしんが すこしだけ めばえた そのとき――
きらきらと あさのひかりが ゆめのなかに とけこんできました。
まほちゃんが ゆっくりと めを さましたのは、
ひかりが やさしくさしこむ あさでした。
こころのなかに ほんのりと のこっているのは、
ふしぎで やさしい ゆめの きおく。
うまく はなせるかは わからない。
でも、じぶんの ことばで つたえてみようと おもえました。
おふとんを ぬけだして、まほちゃんは そっと つぶやきました。
「よしっ、きょうの はっぴょうは うまくいく!」
まほちゃんは きのうのよるまでの なやみが
まるで そらに とけてしまったように、
すっきりとした かおで あたらしい いちにちを ふみだしました。