ゆめメルと にんじんの おはなし

ゆめメルのものがたり

ゆめの木を見上げるゆめメル

そらのまち メルルネの中心にある「ゆめの木」。

その葉っぱの中に、ひとつだけ
くろく しょんぼりした葉っぱが まざっていました。

「……なやみの夢を みつけたメル」

ゆめメルは そっと 羽をひろげて、
葉にうつる夢のけしきを のぞきこみました。

女の子の夢に映るにんじんの準備

くろい葉っぱに うつっていたのは、
あしたの 朝ごはん の じゅんびをしている 女の子。

女の子は にんじんを切りながら、
なんだか しょんぼりした顔をしていました。

「あしたの 朝ごはん、たべたくないな……」

そう、女の子は にんじんが にがてなのです。
にがてすぎて その小さな つぶやきが、
なやみの夢にまで なっていたのです。

夢を書き換えるゆめメルと変化するにんじん

ゆめメルは「ゆめの絵本」をひらき、
そっと ペンをとりました。

「おいしいゆめに 変わるメル〜☁️✨」

くろい葉っぱの夢は、
すこしずつ やわらかな光に とけはじめ――

にんじんは、
にんじんケーキや ハンバーグ、カレーに 大へんしん!

―― どれも 女の子の だいすきな お料理です。

にんじんを勇気を出して食べる女の子

あさの まどべに ひかりが さして、
女の子の きょうの ごはんが はじまります。

にんじんを見て、ちょっとだけ ためらったけど――

「……えいっ!」

フォークで そっと さして、
おそるおそる ひとくち。

――あれ? なんだか おいしいかも。

そんな 朝の はじまりを、
ゆめメルは そっと ながめて、ほほえんだのでした。

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