そらにうかぶ まち、メルルネ。
1日の終わりが見えてきたころ、
ふわふわのくもや そらが
オレンジいろに そまっていきます。
たいようと まちは
しずかに よるの じゅんびを はじめました。
ゆめメルは まちのはずれの おかにすわって、
きょうの空を ながめていました。
そっと 目をとじると、
いろんなゆめが こころのなかに ひろがります。
にこにこしたかおも、 ちいさなためいきも。
みんなの1日が、やさしく とけていきます。
ゆめメルは そっと かばんをひらいて、
「ゆめのえほん」を ひらきました。
ページには きょう出会ったちいさなゆめたちが、
やさしい絵とことばで ならんでいます。
そのひとつひとつを 指でなぞるたびに、
ほのかに ぬくもりが にじんでいきました。
まちのあかりが
ぽつり ぽつりと ともりはじめ、
こんどは ほしの じかんが はじまります。
ゆめメルは そっと ほんをとじて、
ふわりと たちあがりました。
きょうの ゆめを こころにのせて――
「また あした」
その ことばは
ほしぞらに とけて
しずかに ひかりました。